先日お客から、「木造住宅は地震に弱いのではないか?」というご質問がありました。
鉄筋コンクリート造に比べると地震に弱いイメージがあるのでしょう。
しかし、決して弱くはありません。日本各地の鎌倉時代などに建てられた木造
の神社や仏閣が数百年を経ても残存していることからも分かります。
(宮大工が構造をしっかり理解して作った建物です。)
では、なぜ東日本大震災などで倒壊した住宅があったのでしょうか?
倒壊した建物は、建築基準が改正される前に建てられていたものであって、
実際、現在の新耐震基準に乗っ取た住宅の倒壊は圧倒的に少なかったのです。
(今の住宅では、耐震等級など更にしっかりと計算されて作られています。)
地震の振動エネルギーは建物の重力に比例するため、重い建物ほど
大きく揺れます。CO2の削減や耐震性を加味して、最近では高層ビルが
木造で作られてきました。(現在東京の日本橋で建築中。2023年
2月23日のNHKでも放送されました。)
木材は鉄やコンクリートに比べて軽く、同じ大きさの建物では木造の揺れ
が一番少ないのです。また、木材は曲げの力にも強く、同じ重さでの材料の
強さを比較すると、圧縮に対する強さは鉄の約2倍、コンクリートの約9.5倍、
引っ張りに対しての強さは鉄の約4倍、コンクリートの225倍もあります。
鉄やコンクリートは、ある一定以上の曲げの力が加わるとヒビが入り一気に破壊
してしまいます。
木材は少々の曲げの力が加わっても耐久性があり、また同じ状態に復元する力があります。
地震などの大きな力を受けた時でも、ある程度変形しながら力を逃すという性能がある
のです。
また、強度という違った側面では、意外にも火災に強いことが挙げられます。木材は、表面
が炭化すると内部まで燃焼しない性質があり、一定以上の断面を持つ太材は火災に耐えること
ができます。鉄やアルミニウムは加熱すると3~5分で強度が著しく低下しますが、木材は炭
にはなるものの15分経っても約60%の強度を維持します。
したがって、このような軽くて強い木材の特性を生かし、冒頭の通り耐震性能を十分に考慮して
計算、設計・施工した木造住宅は、「地震に強い」と言えるのです。
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